革の素材・製法

タンニンなめしとは?
有史以前から続く革製法が環境に優しい理由

岡喜近江牛レザー MUDITA HILL LEATHER 公式ブログ

財布やバッグを選ぶとき、「本革」という言葉は目にしても、どんな製法で作られているかまで気にする人は少ないかもしれません。しかし革の「なめし方」は、使い心地、経年変化、そして環境負荷まで大きく左右する、ものづくりの核心です。MUDITA HILL LEATHERが採用する「タンニンなめし」とは何か。その歴史と理由を、丁寧にお伝えします。

そもそも「なめし」とは何か

動物の皮は、そのままでは腐敗し、硬く乾燥してしまいます。これを長期間使えるしなやかな「革」へと変える加工が「なめし(鞣し)」です。なめしによって繊維が安定し、腐りにくく、柔軟性のある素材へと生まれ変わります。

なめしの方法は大きく分けて二種類あります。現代の工業生産で主流となっている「クロムなめし」と、有史以前から行われてきた伝統的な「タンニンなめし」です。

タンニンなめし vs クロムなめし——何が違うのか

工業生産の主流

クロムなめし

  • 化学薬品(硫酸クロム)を使用
  • 19世紀以降に広まった近代製法
  • 廃液処理に環境的な配慮が必要
  • 経年変化が出にくい均一な仕上がり
  • 短時間・低コストで大量生産が可能
  • 柔らかく均一な品質を保ちやすい

タンニンなめしの歴史——人類最古の革製法

有史以前〜現代

タンニンなめしの歴史は、文字が記録される以前にまでさかのぼります。古代の人々は、木の樹皮や植物に含まれる「タンニン」という成分に革を安定させる効果があることを経験から学び、この製法を受け継いできました。

古代エジプトのミイラに使われた革製品にもタンニンなめしの痕跡が見られるとされており、まさに人類の文明と共に歩んできた技術です。日本でも古くから植物由来のなめしが行われており、その伝統は現代の職人たちに受け継がれています。

POINT

タンニンなめしに使われる植物由来の成分は、ミモザ(アカシア)、オーク(樫)、チェスナット(栗)など。木の樹皮や実から抽出されます。自然のなかに答えを見つけた、人類の知恵の結晶です。

タンニンなめしはなぜ環境に優しいのか

クロムなめしに使われる硫酸クロムは、製造工程で有害な廃液が生じるため、適切な処理が必要です。一方、タンニンなめしは植物由来の成分を使うため、廃液の環境負荷が比較的小さく、生分解性も高いとされています。

また、MUDITA HILL LEATHERでは国内の加工場でタンニンなめしを施した革を使用しています。製造工程を国内で管理することで、輸送距離を抑えつつ、品質と環境への配慮を両立しています。

植物由来
タンニンは樹皮・渋など自然素材から抽出
国内加工
Cogocoroは国内の加工場でなめされた革を使用
アップサイクル
近江牛の食肉副産物を革として活かす取り組み

タンニンなめしの革が辿る工程

01
皮を洗浄・準備する
食肉処理後の皮を塩漬けや石灰処理で準備。不要な成分を取り除きます。
02
タンニン液に漬け込む
植物から抽出したタンニン液に長期間漬け込みます。薄い液から濃い液へと段階的に移し、革の内部までタンニンをゆっくり浸透させます。この工程に数週間〜数ヶ月を要します。
03
乾燥・仕上げ
十分になめされた革を乾燥させ、オイルやワックスで仕上げます。この工程で革のしなやかさと艶が生まれます。
04
職人の手で製品へ
近江八幡のCogocoro工房で、革の個性を見極めながら一点一点手作業で仕上げます。商品やパーツごとに適した厚みの革を使い分けます。

天然皮革だからこそある「個性」を、ご理解ください

MUDITA HILL LEATHERの革製品をお手に取ると、一点ごとに表情が異なることに気づくかもしれません。色のムラ、わずかな傷跡、シワや筋——これらは製品の欠陥ではありません。生きた牛が過ごした証であり、天然皮革にしかない個性です。

天然皮革の「個性」について、正直にお伝えしたいこと

色のムラ・濃淡

皮の部位によってタンニンの浸透具合が異なります。同じ革でも場所によって色みが異なるのは自然なことです。使い込むほどに色が均一になっていく過程もまた、エイジングの醍醐味です。

小傷・血筋・シワ

牛が生きていた証として、皮膚に刻まれた傷跡や血管の筋、皮のシワが革に残ることがあります。工業製品では均一化される部分ですが、MUDITA HILL LEATHERではこれを「本物の革の証」として活かしています。

一点ごとの違い

同じ商品でも、使用する革の部位や個体によって風合いが異なります。世界にひとつだけの表情を持つ革製品として、その個性をお楽しみいただけますと幸いです。

経年変化(エイジング)——使うほどに深まる革の表情

タンニンなめしの革の最大の魅力のひとつが、長く使うほどに美しさが増す「経年変化」です。クロムなめしの革が均一な状態を保つのに対し、タンニンなめしの革は使い手の手の油分や摩擦を吸収しながら、独自の風合いへと育っていきます。

お使い始め

やや硬め。革本来の素朴な色みと質感。
3ヶ月〜半年

手に馴染み始め、柔らかさが出てくる。色が深まる。
1年以上

艶が増し、色が飴色へ。革が使い手の形に育っていく。
数年後

世界にひとつだけの表情。他のどの革にも似ていない、あなただけの革に。

使い手へのお願い

天然皮革のため、湿気や直射日光を避けた保管をお勧めします。また、革専用のクリームやオイルで定期的にケアしていただくことで、経年変化をより美しく楽しんでいただけます。

まとめ

この記事のポイント

  • 「なめし」とは皮を腐らず柔軟な革へと変える加工のこと。
  • タンニンなめしは植物由来の成分を使う、有史以前から続く伝統製法。
  • 環境への負荷が比較的小さく、生分解性が高い。
  • MUDITA HILL LEATHERは国内の加工場でタンニンなめしされた革を使用。
  • 天然皮革ゆえのムラ・傷・個体差は欠陥ではなく、本物の証。
  • タンニンなめしの革は使い込むほどに艶と色が深まり、経年変化を楽しめる。

近江牛の革から生まれた、滋賀発のものづくり

岡喜近江牛レザー MUDITA HILL LEATHER

近江八幡の工房で一点一点、職人の手により製作されています。

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